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駐車場は従来、機能的であることが重要とされ、周辺環境とは無関係の無機質なデザインにするのが一般的でした。
しかし、公共施設や大型施設の自走式駐車場など大型の施設が増えた昨今では、駐車場のデザインは都市景観に大きな影響を与えています。
現代の自走式駐車場のデザインは、街並みやブランドイメージの向上に貢献するべく、周辺との統一感や差別化を狙いながらファサードを魅力的に演出するものでなければなりません。
自走式駐車場のような一定規模の建築物の外観に関しては、都市部や観光地を中心に、法的・行政的な規制がある地域が多くなっています。
景観条例やデザイン規制により、外壁の色彩や素材、緑化率、意匠などの要件が厳格に定められている場合は、建築家やデザイナーなどの意見を取り入れつつ、必要に応じて自治体の担当部署と協議しながら要件を満たし、計画を進めることが大事です。
建物の規模が大きくなることが多い自走式駐車場は、そのデザインが商業施設やテーマパーク全体の「顔」となって印象を左右し、場合によっては地域のブランド戦略にも影響を与えかねません。
駐車場の外観デザインが施設の第一印象となり、好感度や利用意欲にもつながるため、独自のファサードデザインでブランディングや広告効果を高める必要があります。さらに、洗練されたデザインの駐車場が増えれば、地域全体の景観向上やブランディングにも貢献します。
無機質な印象を残しがちな自走式駐車場のファサードデザインに壁面緑化や植栽を取り入れることで、周辺環境との調和を図り、省エネやヒートアイランド現象の緩和が期待できます。
ただし、植栽の重量を考慮した荷重設計や、水やりのための潅水システムと適切な排水計画が欠かせません。初期コストがアップするだけでなく、メンテナンスにも一定のコストがかかることを考慮しながら植栽を選びます。
細長い金属板を並べたルーバーや、金属板に規則的に穴が空いているパンチングメタルをファサードのデザインに取り入れることで、通風や排煙を確保しつつ、外観をスタイリッシュに演出できます。
夜間照明やサイン計画と組み合わせれば、印象的な外観にできますが、アルミやステンレスなどの素材の違いのほか、可動機構の有無や穴のパターンなどによって耐候性やコストが大きく変わることに注意が必要です。
自走式駐車場のファサードにデジタルサイネージを取り入れれば、駐車場の外壁を広告スペースやイベント演出に活用でき、集客効果が期待できます。また、自由度の高いデザインが可能なLED照明は、夜間のファサードを彩ることで施設のイメージアップにつながります。
いずれも電気代やメンテナンス費用など維持管理コストがかかるため、設置効果とのバランスをよく検討します。景観や周辺環境との調和にも配慮する必要があります。
開口部が大きく確保されているのが基本となっている自走式駐車場のファサードデザインは、装飾や緑化などで塞ぎすぎないようにする設計が必要です。消防法などの規定で、自走式駐車場は開口部の広さや排煙経路を確保することが求められています。
法令や基準との整合性をチェックしながら、ルーバーやパンチングパネルを使い、通風を維持しながらデザイン性を高める工夫が求められます。
雨水を適切に排出して建物内部への侵入を防ぐ「雨仕舞い」は、自走式駐車場でも不可欠です。ファサードデザインのため外壁にルーバーや装飾パネルを設置すると、雨水の流れが変化し、漏水リスクが高まる恐れがあります。
また、壁面緑化の場合は、植物への潅水と排水をどう処理するかが課題となります。シーリングによる止水処理や速やかに排水できるドレンの配置などにより、行き届いた防水計画を立てることが肝要です。
駐車場の環境は、車両の排ガスや振動、日射・雨風に日常的にさらされています。ファサードデザインに塗装やパネルなどを使う場合は、耐久性が高いものを選んだ上で、適切な防錆処理やメンテナンスの実施が求められます。
できるだけ清掃や点検がしやすい構造や形状とし、長期的には再塗装や交換も計画に盛り込んでおきます。外壁材の交換や補修の際に必要となる足場や動線も確保しておけば、スムーズな作業が可能になります。
自走式駐車場のファサードの仕上げ材や装飾材は、アルミルーバーやFRPパネル、金属パネル、植栽ユニットといった多彩な素材の中から選択します。耐候性や施工難易度はそれぞれ違い、価格差もあるため、特徴を把握した上で予算に合わせて選択します。
外壁を広告スペースとして貸し出すことでコスト回収を狙う手法も考えられます。
自走式駐車場のファサード工事は、設計初期段階から施工工程と工期を意識し、効率的な施工が可能なデザインや材料を選定することが、コストダウンにもつながります。躯体工事の際、先行して取付金物の設置が必要な場合などに注意が必要です。
大型パネルや緑化ユニットの搬入・仮置き場所の確保や足場計画などの入念な事前準備も欠かせません。プレキャスト工法やユニット化で工期短縮が可能かも検討に値します。
自走式駐車場のファサードのメンテナンス費用は、建物本体と同様、長期的な視野から計画を立てる必要があります。
パネル類は清掃や塗り替え、取替え周期を踏まえたライフサイクルコストを見極めることが重要。壁面緑化は植物の育成管理が欠かせず、年間コストが発生することに注意が必要です。
設計段階で十分協議し、どの程度の費用が発生するのかを明確にしておくのが良いでしょう。
自走式駐車場の予定地に景観条例があったり、景観保護地区や風致地区などによる規制があったりする場合は、条例や規制の内容を詳細に確認し、規制内容に合致したデザインにしなければなりません。
ファサードの素材や色、緑化率などによっては、自治体との事前協議が必要なケースもあります。住民説明会や景観審査会での説明に備えた情報収集や準備も重要です。
自走式駐車場は、開口部が大きく自然換気が可能な設計が基本ですが、ファサードのデザインにより開口部が小さくなると、建築基準法や消防法の規定で機械換気設備や防火被覆などの導入が必要になるケースがあります。
火災時の避難動線や排煙計画が阻害されないかなどについても、よく確認しておかなければなりません。防火地域や準防火地域では、外装材の耐火性能要件が厳しくなることにも注意が必要です。
屋外広告物法や自治体の屋外広告物条例で、屋外に表示される広告の大きさや形状、色彩や設置場所は規制されており、自走式駐車場のファサードにデジタルサイネージやサインを設置する際には許可が必要になる場合があります。
広告の明るさや点灯時間の制限がある地域もあり、デザインが影響を受ける可能性もあります。事前によく確認の上、必要に応じてデザインや設計を検討したり、許可を受けたりすることが重要です。
綿半ソリューションズが手掛けた自走式立体駐車場から、ファサードに特徴がある事例を紹介します。

太陽光パネルと緑化
(イオンモール東久留米)
5層6段/フラット式/ラーメン構造/ショートスパン
床面積:20,870㎡/収容台数:810台
壁面に太陽光パネルを設置し、さらに緑化を施工しています。

大型タイル
(神戸市プレンティ第二駐車場)
6層7段/フラット式/ラーメン構造/ショートスパン
床面積:22,706㎡/収容台数:935台
外装材の一部に大型タイルを使用し、植栽には成長が早く気候環境にも強いヘデラ(アイビー)を植え込んでいます。

太めの縦ルーバー(春日部市民病院)
4層5段/フラット段差式/ラーメン構造/ショートスパン
床面積:4,936m㎡/収容台数:199台
壁面の意匠材として、周辺との配色に配慮された幅広の縦ルーバーを採用しています。

縦ルーバーと植栽(豊洲新市場)
5層6段/連続傾床式/方杖ブレース構造/ロングスパン
床面積:16,165㎡/収容台数:707台
周辺の緑との調和のため、屋上や外装に植栽を施しています。
壁面には目隠しや緑化にも活用できる有孔折板がランダムに設置されています。

アルミ製のルーバー(プラウド船橋)
3層4段/スキップ式/方杖ブレース構造/ロングスパン
床面積:8,652㎡/収容台数:410台
外装材の一部に周囲と調和する配色のアルミ製のルーバーを採用しているのが特徴です。

縦ルーバーと植栽
(アルフレッサ京都医薬品センター)
5層6段/フラット式/ラーメン構造/ショートスパン
床面積:4,708㎡/収容台数:172台
企業イメージに合わせた外装材を使用した、スタイリッシュな外観の駐車場です。
自走式駐車場のファサードは、特にゼネコン・設計事務所の設計監修下で進められる案件において、建物の「特色」や「個性」を表現する要素として重視されています。構造に手を加えにくい分、ファサードでの差別化や用途に応じた演出が求められる傾向にあります。病院では清潔感や水平な印象、商業施設では看板のサイズ・配置制限への配慮、空港付近では光の反射制御、パチンコ店では視認性の高い色彩や照明強度など、施設ごとに要望は多岐にわたります。
中には駐車場を店舗以上に“建物の顔”と見なすクライアントも存在し、設計段階での調整が求められます。
また、外装部材の仕様は立地条件にも左右され、海沿いではフルメッキ、内陸では部分メッキと塗装の組み合わせとするなど、環境とコストの両立を図った選定も行われています。
主に、以下の目的があります。
両立可能です。
通常、自走式駐車場では自然換気(外周開口率50%以上)を基本としますが、ルーバーやパンチングメタルを用いることで、意匠と機能を両立できます。
開口率や通風性能を損なわない設計が重要で、風洞実験やCFDシミュレーションを活用する事例もあります。
素材や規模、施工方法により異なりますが、通常の無装飾外壁と比べて10〜30%程度のコスト増加が一般的です。
例えば、アルミルーバーやパンチングパネル、壁面緑化ユニットなどは㎡単価で2〜5万円程度かかることもあります。 ただし、広告収益やイメージアップによる波及効果を期待できるため、長期的には投資効果があると考えられます。
設置自体は可能ですが、屋外広告物条例や地域の景観規制に適合する必要があります。
綿半ソリューションズ株式会社は、自走式立体駐車場の設計・施工を専門とする専業メーカーです。
全国に多数の施工実績を持ち、用途や敷地条件に応じた構造提案を行うほか、設計段階からゼネコンや設計事務所と連携し、図面・法規・運用面まで一貫して対応。
6層7段構造において国土交通大臣認定(一般認定)を2016年12月、業界で初めて取得※するなど、大規模・高層対応の先駆的な実績も有しています。
当メディアは、自走式立体駐車場の設計・施工に関わる専門知識を、実務目線で分かりやすく整理・発信する情報サイトです。構造・法規・寸法・防災・SDGs対応まで、多角的なテーマを扱いながら、建築・開発関係者の判断をサポートすることを目的としています。
制作・運営は、多数の業界特化型メディアを展開するZenken株式会社が行っています。
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多彩なファサード構成
綿半ソリューションズでは、施設の用途や景観要件、コストバランスに応じて複数のファサード素材を提案しています。機能性とコストパフォーマンスに優れる「メッシュフェンス」や「鋼板パネル」のほか、意匠性に配慮した「アルミルーバー」「有孔折板」「押出成形セメント板」などのデザイン性を高める素材もラインナップ。
さらに、緑化フェンスや植栽プランターによる「壁面緑化」への対応も可能で、周辺環境と調和する外観計画が行えます。施設のブランディングや施主要望に応じたオーダーメイドの「デザイン提案」も実施しており、公共性の高い施設や商業用途、企業ロゴを取り入れたいケースなどにも柔軟に対応可能です。