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現代社会において、駐車場は単に車両を停めておく場所であるということにとどまらず、都市の持続可能性に貢献する多機能な拠点に進化することが求められています。
特に規模が大きく、敷地面積が広い自走式駐車場は、環境対策や地域へのプラス効果を発揮しやすいという利点を生かさなければなりません。
具体的には、再生可能エネルギーの活用やEVの充電設備整備のほか、災害時の避難場所とすることなどが挙げられます。
自走式駐車場は、機械式駐車場と比較するとエネルギー消費が少なく、メンテナンスが容易なため長期的な利用が可能で、SDGsの視点からも優位性が認められます。
機械式のほうがスペース効率は高くなりますが、入出庫に時間がかかる場合があり、車両サイズの制限もあることから、利用者目線でも自走式駐車場のほうがメリットが大きいと考えられます。さらに避難場所や物流拠点など多機能での活用も期待できます。
持続可能でより良い社会を目指すため、2030年までに達成すべき目標として2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は17の目標で構成され、その下には169の達成基準と232の指標が作られています。このうち、自走式駐車場に関連する目標として、主に次のようなものが挙げられます。
自走式駐車場は設計段階から省エネルギー・省資源を意識し、駐車場のライフサイクル全体の環境負荷を低減させなければなりません。環境負荷の少ない資材を選び、プレキャスト工法などで工期を短縮させます。
太陽光発電など再生可能エネルギーの導入やLED照明など消費電力の少ない設備を使うだけでなく、耐久性の高い設計とメンテナンスによる長寿命化も重要。さらに、コミュニティースペースとして活用するなど地域社会への還元も欠かせません。
自走式駐車場の壁面や屋上の緑化は、地表温度を上げやすいアスファルトの影響を抑え、都市部のヒートアイランド現象の緩和につながると考えられています。緑化により、周辺環境と調和するだけでなく、美観の向上や遮音のため利用者や周辺住民の快適性の向上にもつながります。
ただし、屋上は耐久性の高い防水処理をする必要があります。許容重量を超えないよう注意が必要で、剪定や草刈りなど定期的なメンテナンスを欠かさないようにし、必要に応じて潅水設備を整備すると良いでしょう。
自走式駐車場の屋上やスロープなどに太陽光パネルを設置すれば、カーボンニュートラルへの貢献をはじめ、発生した電気は駐車場内の照明やEVへの充電にそのまま使え、余剰電源は電力会社に売ることも可能。光熱費を抑えるだけでなく、売電によるビジネスにつながる可能性もあります。
災害時の非常用電源とすることも考えられますが、一定の初期投資と維持管理費などのランニングコストがかかることに注意が必要です。国や自治体の補助金や優遇制度を事前によく調査すべきです。
環境への配慮からEVが普及している世の中の流れに合わせ、自走式駐車場にEV充電ステーションを設けることで、温室効果ガスの排出量削減と、健康的で持続可能な都市環境の実現に貢献できます。
ただし大きな電力を必要とするため、配電容量や運用コストを算出し、必要に応じて課金システムの導入を検討します。またカーシェア・レンタカー事業との連携すれば、公共交通の補完となり渋滞緩和につなげることもできます。
自走式駐車場で一時貯留した雨水を、トイレの洗浄水や植栽などへの散水に使うことができます。
貴重な水資源の有効利用により、水道使用量を減らすことができます。災害時の非常用水として活用できることもポイントです。
さらに透水性舗装を導入することにより、路面の水たまりを防ぎ、雨水を地中に浸透させることで地盤の保水力を高めることができます。都市型洪水対策や下水道負荷軽減への寄与するだけでなく、ヒートアイランド現象の緩和にもつながります。

太陽光パネルと緑化・植栽(イオンモール東久留米)
綿半ソリューションズが設計・施工したイオンモール東久留米の自走式立体駐車場です。
壁面に太陽光パネルを設置、施設全体の環境配慮方針に基づいて、建物周囲やファサードに豊富な植栽を取り入れた設計が特徴です。

太陽光パネル設置による再生エネルギー利用や壁面緑化など環境に配慮した自走式駐車場には大きなメリットがあるとともに、さまざまな面で課題も指摘されています。それぞれをまとめると次のようになります。
再生可能エネルギーの利用や高効率の照明の採用などにより、温室効果ガスの排出量を削減。緑化や保水性舗装は都市部のヒートアイランド現象の緩和や景観の改善につながります。
SDGsに積極的に取り組む姿勢を示すことで、企業や自治体のイメージアップとなり、ほかの駐車場との差別化を図ることもできます。太陽光発電やEV充電事業により収益を得られるほか、補助金でコストを回収できる経済効果も期待できます。
屋上などへの太陽光パネルの設置や緑化設備の導入には、配線工事や土壌基盤の整備など高額の初期投資が必要となる可能性があります。パネルの清掃や充電設備の点検・故障対応、植物のメンテナンスなど維持管理コストもかさむ恐れもあります。
適切な維持管理のための専門人材の確保もコスト増の要因です。緑化基盤や排水計画といった特殊な工事や屋上の荷重計算などのため施工が難しく、工期が長くなる場合があります。
自走式駐車場への太陽光発電や壁面緑化などSDGsに貢献する取り組みをスムーズに進めるには、建築基準法などの法令や条例との整合性の確認が必要です。緑化により容積率や高さ制限の緩和措置の適用対象になる可能性があります。
太陽光パネルは、景観条例により色や設置角度などの配慮を求められることも。緑化率なども含め、現行の法令や条例との整合性を確認の上、必要に応じて自治体の支援制度を利用します。
自走式駐車場のSDGsへの貢献を後押しする制度として、壁面緑化や太陽光発電システム、省エネルギー設備の工事費などに対する補助金制度が多くの自治体で整備されています。特定のSDGs関連投資に対する国や自治体の税制上の優遇措置を受けられる場合もあります。
地方創生や環境保全を目的とした融資や税制優遇の制度を適用できることもありますが、それぞれに要件や申請手続きが定められており、事前に把握して進める必要があります。
自走式駐車場のSDGsに関する取り組みにより、企業や自治体などが独自に設けているSDGs認証を受けられる場合があります。
認証によりPR支援や融資の優遇といったメリットが期待できます。「環境配慮型駐車場」などの表彰制度があるケースもあります。
また、国際的な認証制度であるLEEDや、日本で開発された環境性能の総合評価であるCASBEEなどの評価システムと連動することで、自治体などの支援制度の対象となることもあります。
壁面緑化の費用は、植栽面積・方式(パネル型、ワイヤー型など)・潅水設備の有無によって大きく異なります。
概算では1㎡あたり3万円〜10万円程度が一般的で、加えて年間数千円〜数万円程度のメンテナンス費が発生します。建築面積が大きい自走式駐車場では、初期コストと維持計画を併せて検討することが重要です。
主に、以下のようなメリットがあります。
必須ではありませんが、将来的な普及拡大に備えた導入を検討する企業・自治体が増えています。
特にSDGsに積極的な施設では、EV充電ステーションの整備が「環境対応型駐車場」の象徴となり、ブランディングや利用者満足度の向上にもつながります。導入には充電器本体、配線工事、電力契約見直しなどの費用がかかるため、段階的な設置も有効です。
あります。
壁面緑化や屋上緑化は、表面温度を10〜15℃下げるという実測データもあり、局所的な温度上昇を抑える効果が証明されています。
また、透水性舗装を用いることで、雨水の地中への浸透→蒸発冷却という自然の温度調節メカニズムを活かすこともできます。
都市部の大規模駐車場では、周辺の環境改善・熱環境の平準化に寄与する可能性が高いです。
綿半ソリューションズ株式会社は、自走式立体駐車場の設計・施工を専門とする専業メーカーです。
全国に多数の施工実績を持ち、用途や敷地条件に応じた構造提案を行うほか、設計段階からゼネコンや設計事務所と連携し、図面・法規・運用面まで一貫して対応。
6層7段構造において国土交通大臣認定(一般認定)を2016年12月、業界で初めて取得※するなど、大規模・高層対応の先駆的な実績も有しています。
当メディアは、自走式立体駐車場の設計・施工に関わる専門知識を、実務目線で分かりやすく整理・発信する情報サイトです。構造・法規・寸法・防災・SDGs対応まで、多角的なテーマを扱いながら、建築・開発関係者の判断をサポートすることを目的としています。
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