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自走式駐車場の「大臣認定」とは、国土交通大臣がその構造・仕様・安全性を審査し、建築基準法に適合すると認めた駐車場構造のこと。「国土交通大臣認定構造」が正式な名称で、設計・施工の合理化と安全確保が目的です。
主要構造部の構造方法や特定防火設備の内容について、指定性能評価機関の防災性能評価を受け、これに基づく国土交通大臣による「耐火建築物」の認定を指し、一般的に「防耐火の認定」と言われています。
自走式駐車場に対して「認定」をする制度は複数あります。
一定の耐火性能を有する自走式駐車場が対象の上記国土交通大臣認定のほか、自治体が駐車場整備条例などに基づいて実施する有料駐車場認定、一般社団法人日本自走式駐車場工業会などの業界団体が独自の基準に基づいて行う技術認定や環境認定なども該当します。
制度によって認定される内容やメリットは大きく違います。抽象的に「認定」というだけでは、どの制度を指しているのかが曖昧になるため注意が必要です。
自走式駐車場の大臣認定を取得することで、主に下記のようなメリットがあります。
耐火建築物としての認定を受けるため、主要構造部の鉄骨に耐火被覆を施す必要がなくなります。消火設備を簡易なものにすることができ、防火区画や泡消火設備などの設置は不要となるため工期が短くなるほか、コストも圧縮できます。
自走式駐車場の「認定」を重要視する理由は、立場によって異なります。
設計者や施工管理者にとっては、認定を受けるにはどんな仕様や構造にすべきか、設計や施工の自由度が高くなることへの関心が高いでしょう。駐車場オーナーや投資家は付加価値やイメージアップによって資産価値の維持・向上を図ることが多いでしょう。一般ユーザーにとっては、安全性の基準を満たしていることが明確になり、安全性や利便性の指標として参考になると考えられます。
| 設計者のメリット | 設計の自由度向上・効率化・合理化 一般的な構造審査を省略でき、確認申請がスムーズに進む |
|---|---|
| オーナー(施主)のメリット | 建設コストの削減(耐火被覆・設備の簡略化が可能) 資産価値の維持・向上 |
| 利用者のメリット | 国の認定により、構造安全性や耐震性が保証されている安心 |
建築基準法に基づき、耐火建築物に相当する防耐火性能があると国土交通大臣の認定を受けた自走式駐車場は、「認定駐車場」としてさまざまなメリットを享受できます。
認定を受けるには、指定性能評価機関の防災性能評価を受ける必要があります。
大臣認定を受けるための工法と一般在来工法にはさまざまな違いがあり、認定工法は鉄骨造で、階数が6層7段以下、床面積は4,000㎡以下(いずれも一般認定の場合)と決まっています。
認定には、国交省が定めるすべての基準・ルールに従う一般認定、当該物件のみの認定を受ける個別認定、認定を受けた防火材料で建築する防耐火認定、同じ仕様の駐車場を複数建設する場合の手続きを簡略化する型式適合認定の4種類があります。

6層7段構造で「一般認定」を取得
従来は5層6段までが「一般認定」でしたが、綿半ソリューションズは「6層7段(6階建て)」構造の自走式立体駐車場で国土交通大臣の一般認定を取得しました。
多層化によって、少ない建築面積でより多くの駐車台数を確保することが可能になります。
画像は、6層7段(6階建て)構造を採用、1,864台収容可能な「ららぽーと名古屋みなとアクルス」の自走式立体駐車場です。
大臣認定を受けるには、設計図書や構造計算書などの必要書類を添付して申請書を提出しなければなりません。
書類による審査と共に、必要に応じて実地検査や試験が行われた後、認定通知書が交付されます。
自走式駐車場の「優良駐車場」認定は、優れた要素を持っている駐車場に対して自治体や業界団体が行います。
一般的な要件としては、歩行者と車両の動線が分離されているかといった安全性、駐車区画が広くて使いやすいかといった利便性のほか、省エネルギー対策や緑化に代表される環境への配慮、障害者や高齢者の優先区画の設置状況をはじめとするバリアフリー対応などが挙げられます。
優良駐車場に認定されることでイメージアップが図れるほか、補助金交付や税優遇措置の制度が設けられている場合があります。
認定を受ける場合は、オーナーや管理者が自治体や業界団体に申請。書類審査や現地調査を経て認定されるのが一般的です。
自走式駐車場の環境性能やバリアフリーの取り組みについて、第三者機関の認定を受けることにより、客観的な評価を基にした利用者へのアピールや資産価値の向上などのメリットがある可能性があります。省エネ性能や資源の有効活用などを総合評価する日本独自の環境評価システム「CASBEE」で、駐車場も評価対象になるほか、アメリカ発祥の国際的な環境評価システム「LEED」でも駐車場に関する評価項目が設定されています。
バリアフリーの取り組みに関して自治体が独自の条例や認定制度を設けている例もあり、駐車場も社会的な要請に応じた設計が求められています。
自走式駐車場に関する認定制度としてはほかに、一般社団法人日本自走式駐車場工業会(JSPI)による技術評価など業界団体(日本建築センター等)が行う技術評定や評価があります。独自の景観・防災に関する認定制度を設けている自治体もあります。
「大臣認定」とは、建築基準法で定められた安全性や性能の評価を、通常の基準(告示)以外で満たす場合に、国土交通大臣の認定を受けて合法的に使用できるようにする制度です。
たとえば、新しい構造方式や材料、特殊なスロープ勾配など、既存の基準に適合しない工法を用いる場合に活用されます。
以下のようなケースでは、大臣認定を取得することで、建築確認審査での適法性を証明しやすくなります。
大臣認定を取得しているメーカーや工法については、国土交通省のウェブサイトで公開されている認定リストから検索できます。特定のメーカーや工法の認定番号が分かっている場合は、その番号でも検索可能です。
設計事務所や建設会社に相談すれば、実績のある認定工法やメーカーを紹介してもらえる場合もあります。
基本的な流れは以下のとおりです。
※申請から認定取得まで数か月程度かかるのが一般的です。
設計・確認申請スケジュールに影響するため、早めの手配が重要です。
綿半ソリューションズ株式会社は、自走式立体駐車場の設計・施工を専門とする専業メーカーです。
全国に多数の施工実績を持ち、用途や敷地条件に応じた構造提案を行うほか、設計段階からゼネコンや設計事務所と連携し、図面・法規・運用面まで一貫して対応。
6層7段構造において国土交通大臣認定(一般認定)を2016年12月、業界で初めて取得※するなど、大規模・高層対応の先駆的な実績も有しています。
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