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2層以上の多層階で構成されている自走式駐車場は、屋根のない屋上階が過酷な環境下に置かれています。
雨や雪が直接降るほか、年間を通じて紫外線にさらされているためです。車路や駐車区画が連続しているレイアウト上の特徴もあり、床面全体に防水処理を施すことが必須となっています。
自走式駐車場での水漏れが起きると、多くの面に影響が及びます。
雨漏りにより、雨水が下階のコンクリート内部に浸透すると、コンクリートや鉄筋の錆び・腐食で強度が下がり、ひび割れの拡大でさらなる漏水を招きます。劣化や腐食が進んでしまうと修繕コストが大幅に増加するほか、利用者からのクレームや安全性への懸念が生じます。
自走式駐車場で防水処理を徹底することは、建物全体の耐久性を高め、長期的な維持管理コストを削減させる大きな効果があります。
快適かつ安全な駐車場環境を利用者に提供できるのはもちろん、床面やスロープの摩耗・破損が抑えられ、駐車場の資産価値を守ることができます。
ウレタン塗膜防水は、液状のポリウレタン樹脂を建物の表面に何度も塗り重ねて防水層を形成する工法です。
ウレタン樹脂の弾性のある塗膜により、継ぎ目のない防水層を形成できます。施工が比較的容易なことから、複雑な形状でも対応可能。駐車場は多くの車両や歩行者が利用するため、耐摩耗性のあるトップコートの選定が重要です。
シート防水は、塩化ビニールや合成ゴムでできたシートを貼り合わせて1枚のシート状にすることで防水層を形成する工法です。
工場で製造されたシートを現場で接合して敷設するため工期は比較的短くなりますが、シートの継ぎ目の施工精度が防水性能を左右します。車両荷重や摩耗への対策として、表面保護工法を併用する場合もあります。
FRP防水は、FRP(繊維強化プラスチック)のシートを床面に敷き、不飽和ポリエステル樹脂を重ねて塗布して防水層を作る工法です。
防水性だけでなく強度や耐久性を向上するメリットがあるほか、複雑な形状の部分にも施工でき、化学耐性も高くなります。駐車場で導入するには、走行摩耗に対する厚膜仕上げや、保護層の検討をする必要があります。
アスファルト防水は、合成繊維の不織布を加熱して溶解したアスファルトに浸してコーティングしたルーフィングシートを貼り重ねる工法です。
古くから使われてきた工法で、大規模施設での採用実績も多く、高い防水性能を発揮しますが、施工に手間がかかり、建物の重量が増す欠点があります。導入の際はメンテナンス性や工期を考慮しなければなりません。
自走式駐車場は一般の建築物とは異なる特有の負荷がかかり、防水層にも影響を与えてしまいます。その影響や、起こりうるトラブルには次のようなものがあります。
駐車場は車両が頻繁に通行するため、床面や防水層に繰り返し荷重がかかります。タイヤによる摩耗はもちろん、急なブレーキや加速、ハンドル操作で、局所的に強い力がかかってしまいます。
大型車やSUVが増加したことで、負荷はさらに大きくなっており、スロープ部やカーブ部は摩耗やひび割れリスクが高くなっています。
屋外にさらされている自走式駐車場は、昼夜の気温差により床面や防水層は膨張と収縮を繰り返し、ひび割れや破断の原因となります。
寒冷地では、わずかなひび割れなどから入った水が凍結と溶解を繰り返し、コンクリートや防水層の劣化を促進させます。紫外線対策や遮熱性のあるトップコートが必要になる場合もあります。
自走式駐車場では、スロープや床面の勾配が不足していたり、排水口が目詰まりしたりすると、水たまりができて、さまざまな悪影響を及ぼします。
利用者にとって不便なだけでなく、水分が残り続けると漏水を起こし、コンクリートの中性化を早めてしまう恐れもあります。定期的な清掃や、排水設備のメンテナンスが不可欠です。
防水層の性能を最大限に引き出すために、コンクリート表面の欠損や不陸(ふろく)を整えるなど下地処理を適切に実施し、速やかに排水できる勾配を確保します。
継ぎ目やクラックの処理法を明確にし、適切な補修材を選択すべきです。湿潤状態や寒冷期の施工を避けるなど施工環境にも配慮が必要です。
自走式駐車場の防水材料を選定する際は、ウレタン、FRP、シート、アスファルトなどの特性を比較した上で、駐車場特有の負荷を考慮に入れて決めるべきです。
耐久性や施工性、コストなどの面からも総合的に検討し、車両走行部では厚膜化や耐摩耗コートが必要になることも念頭に置く必要があります。
温度変化や地震などによるコンクリートの収縮を吸収させる隙間である伸縮目地や、雨水などを速やかに排出させる排水計画は、防水層の耐久性を高めるために重要なポイントです。
伸縮目地は、伸縮に追従できるシーリング材やジョイント材を選び、防水処理を確実に実施します。排水計画では、排水溝・ドレーンの配置や定期点検の実施を決め、確実に実施します。
自走式駐車場の施工において、品質に大きく影響する気候条件には注意が必要です。
降雨時や降雪時の施工はコンクリートの含水率上昇などで強度不足を招く可能性があり、可能な限り避けるか、仮設屋根で対策します。気温や湿度によっては、塗膜防水や防水シートの接着の品質も下がってしまいます。
気候条件が合わず、夜間施工や連続施工となってしまう場合には、適切な養生期間を設定するなど、うまく段取りを組みましょう。
自走式駐車場の施工時は、品質管理や検査を徹底することで防水性能を随時確認することが重要です。
中間検査では、防水層の厚みや付着強度を確認。シート防水の場合、継ぎ目のシールや溶着部の漏れをチェックし、不良部分が見つかった場合は速やかな是正を求めます。最終的には水張り試験や散水試験で漏水の有無を確認します。
自走式駐車場に施工した防水層の性能を十分に発揮させるには、施工後の養生や仕上げが必要です。
施工後すぐに補修が必要になるような粗雑な工事を防ぐためのチェックが欠かせません。
施工後、防水層が十分に硬化するまで、車両や人の進入を徹底して制限。養生中には雨水や直射日光を避けるためシートなどでカバーし、トップコートの塗布で防水層の表面を保護します。
自走式駐車場で定期点検を確実に実施することは、防水性能を維持して建物の長寿命化を図る意味でも重要です。
点検では、床面や排水口、スロープ端部など劣化が起きやすい箇所を重点チェック。ひび割れや防水層の剥離が軽微なうちに補修すれば、劣化防止とともにコスト削減にもつながります。
点検周期を計画的に設定し、日常清掃と組み合わせる形で着実に実施する体制を作りましょう。
自走式駐車場の防水性能を維持するため、局部補修で済ませるのか、あるいは全面改修をするのかを選択する際は、劣化状況や原因、予算、などを総合的に考慮して決める必要がありますが、あらかじめ基準を決めておくのも有効です。
状況次第では、新たにウレタンやFRPを上塗りする二重防水方式が有効なケースも考えられます。改修工事をする場合には、工事中の車両通行ルート確保や工期短縮策もよく検討しておかなければなりません。
自走式駐車場の防水性能を維持し、建物を長寿命化させるためには、さまざまな工夫が必要です。
表面保護材を定期的に再塗装したり、トップコートを更新したりするほか、シート防水の場合、シートの貼り替えと下地補修を同時に実施することも有効な工夫でしょう。
建物全体の維持管理計画に駐車場の防水性能維持を組み込み、長期的な取り組みとすることも欠かせません。
駐車場の最上階やスロープ部は屋外にさらされやすく、雨水・融雪水がコンクリートに浸透すると、鉄筋の腐食やひび割れ、凍結膨張による劣化を引き起こします。 下階への漏水被害は構造体の耐久性を損ない、修繕コストが大幅に増大するため、建設段階で確実な防水層を設けることが重要です。
防水工法は、主に以下のポイントを検討します。
防水工事を行う際には、以下の点に注意が必要です。
綿半ソリューションズ株式会社は、自走式立体駐車場の設計・施工を専門とする専業メーカーです。
全国に多数の施工実績を持ち、用途や敷地条件に応じた構造提案を行うほか、設計段階からゼネコンや設計事務所と連携し、図面・法規・運用面まで一貫して対応。
6層7段構造において国土交通大臣認定(一般認定)を2016年12月、業界で初めて取得※するなど、大規模・高層対応の先駆的な実績も有しています。
当メディアは、自走式立体駐車場の設計・施工に関わる専門知識を、実務目線で分かりやすく整理・発信する情報サイトです。構造・法規・寸法・防災・SDGs対応まで、多角的なテーマを扱いながら、建築・開発関係者の判断をサポートすることを目的としています。
制作・運営は、多数の業界特化型メディアを展開するZenken株式会社が行っています。
品質体制の強化
綿半ソリューションズでは、協力会社による自主管理に加え、社内で「工程内検査」や「完成引き渡し前の出来型検査」を複数段階で実施。構造不具合やひび割れなどの品質リスクを未然に防ぐ多層的な検査体制を整えています。
取引先の選定にも高い基準を設けており、施工・製造などを担う協力会社は、綿半独自のネットワークである「綿半あわせ会」に属する企業に限定しています。あわせ会は全国の鉄骨・メッキ・床材・電気設備など各専門分野の企業から構成されており、入会には既存会員や社員からの推薦と役員会の承認が必要です。
このように信頼できる限られた企業群と継続的に連携することで、品質の安定と現場対応力の高さを両立しています。