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自走式駐車場を計画する際、「これは建築物になるのか? 工作物で済むのか?」は、法的手続きや設計基準を大きく左右する重要なポイントです。本記事では、建築基準法における定義から、建築物として扱われる場合の法規制、メリット・デメリットまで詳しく解説します。
建築基準法第2条第1号は、「建築物」の定義を「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む)」としており、一般的な自走式駐車場は「建築物」として取り扱われます。
過去には、鉄骨ユニットを組み合わせた基礎のない2層3段の自走式駐車場が、裁判で違法建築物だと認定された事例があります。
この駐車場は、パチンコ店経営者が「駐車場棚であり工作物に当たる」として建築確認申請をせずに施工したため、建築物使用禁止命令を受けました。経営者は、禁止命令の取り消しを求めて提訴したのですが、神戸地裁は判決で自走式駐車場は「土地に定着する工作物であり、建築基準法上の建築物に該当する」と認定したのです。
建築基準法の定義のうち、「屋根及び柱若しくは壁を有するもの」であるということは、少なくとも「屋根と柱」か「屋根と壁」のいずれかに該当すれば良いことになります。開放的な構造かどうかなどは、建築物の判断には関係しません。
さらに「土地に定着する」とは、物理的に土地に強固に結合されている状態だけを指すのではなく、基礎がない工作物でも容易に移動できないものは「土地に定着している」と判断されます。
こうしたことから、自走式駐車場はもちろん、ガレージや物置なども建築物に該当し、建築確認申請など建築基準法に従って手続きをする必要があります。
建築基準法で規定されている「建築物」と「工作物」の境界は、同法第2条第1号の条文に基づいて判断することになります。条文は「屋根及び柱若しくは壁を有するもの」としていることから、まずは雨風をしのぐことができる屋根と、これを支える柱や壁があることが基本的な要件です。
また「土地に定着した工作物」であると判断されるには、容易に動かすことができない構造であることも必要です。
従って、400台規模で多層階の自走式駐車場は、多くの場合は「建築物」に該当することになります。
一方で、簡易な構造で屋根や壁がない小規模な駐車場などは、工作物と判断される余地はあります。
自走式駐車場は、建築基準法上の「建築物」として扱われることから、建設の際は建築基準法に規定されたさまざまな手続きに対応する必要があります。
新築時にまず必須なのは、建築確認申請です。工事着手前に、建築計画が法令等に適合しているかについて、建築主事や指定確認検査機関の確認を受けます。さらに建設工事は、建築士資格を持つ工事管理者が施工状況を適切に監理しながら進めます。工事完了後は完了検査を申請し、建築主事らによる検査を受け、検査済証を受領します。
自走式駐車場には特有の法的要件もあります。構造計算に基づいて適切な構造方法や材料を選定して耐震基準を満たす必要があり、連続傾床式の場合は傾斜の影響の適切な評価が求められます。スロープ勾配は、バリアフリーへの配慮も必要です。
敷地面積に対する延べ面積の割合の上限を示している容積率の算定の際、駐車場部分も原則として算定の基礎となる延べ面積に含まなければなりません。しかし、自走式駐車場については面積のうち5分の1を限度として延べ面積に算入されない特例が、建築基準法施行令に規定されています。
さらに自治体によっては、特定の条件を満たす自走式駐車場について同様の緩和措置を条例で規定している場合があります。
また、開放率が高いオープン型駐車場の場合にも、容積率算定から一部除外される特例が建築基準法施行令に規定されています。
ただし、そうした緩和措置を受ける場合にも、高さ制限や日影規制の適用は受けるため、建物の高さの設定には注意が必要です。
防火地域や準防火地域に大規模な駐車場を建設する場合、防火地域では原則として耐火建築物とする必要があるほか、準防火地域でも延べ面積1,500平方mを超えるような大規模な駐車場は耐火建築物でなければなりません。
壁が少ないオープン型の駐車場でもこの規制は適用され、柱や梁の耐火被覆などが課される場合があり、注意が必要です。
■用途地域別の制限傾向(早見表)
| 用途地域 | 建築制限の傾向 | 詳細 |
|---|---|---|
| 住居系 | 厳しい | 低層は原則不可。中高層・住居地域は一定規模以下なら可。 |
| 商業系 | 緩やか | 近隣商業・商業地域とも規模などの制限は少ない傾向。 |
| 工業系 | 比較的緩やか | 建築基準法上の制限は少なく建設しやすい傾向(※自治体の条例による制限を除く)。 |
建築基準法は、用途地域別の建築制限を規定しており、特に住居系の用途地域では、建築可能な規模や回数に厳しい制限を設けている場合があります。具体的な制限は自治体の条例で定められています。
大規模駐車場の高さやボリュームが用途地域の規制に抵触しないかは、事前に自治体への確認が不可欠です。主な用途地域別の制限は次の通りです。
自走式駐車場の建設に関しては、景観条例や駐車場整備条例による基準や規制を設けている自治体が少なくありません。
景観条例では建物の色彩や形状に制限があったり、緑化率の下限が規定されたりするほか、防犯対策の強化が求められる場合もあります。
駐車場整備条例では、重点整備地区での助成措置や規制緩和の規定があります。
外周の開放率が一定以上となるオープンな構造で、通風や採光を確保できる構造になっている開放型の駐車場に対し、容積率算定時に駐車場の一定面積が算入されなかったり、設置義務のある台数が緩和されるなどの特例措置が自治体の条例で認められているケースがあります。
ただし、どの程度開放率を確保すれば対象になるかは自治体ごとに異なるので、確認が必要です。
「建築物」とみなされている自走式駐車場は、適切に構造計算がされており、建築基準法上で要求される耐震基準をクリアしているため、耐震性能や安全性が高く、地震時の倒壊リスクを低減できます。
避難経路や防火区画が設置されることで災害や火災が起きた場合の安全性も向上するほか、法定点検やメンテナンス体制によりトラブルや事故を未然に防ぎやすいことも併せ長期的な資産価値が高まる傾向にあり、テナントや利用者の安心感を得やすくなります。
「建築物」とみなされると、建築確認申請や完了検査などの手続きのほか、耐震構造など建築基準法に適合させるための設計・施工のためのコストや設計・監理の手間が増えてしまいます。
建蔽率や容積率、高さ制限などの規制を受けるため、敷地活用の自由度が下がる場合があるほか、規模によっては高い防火・耐火性能を求められ、使用できる材料や仕上げが制限される可能性もあります。
原則として、「屋根および柱、または壁を有する構造物」は建築基準法上の「建築物」に該当します。
屋根がない簡易な平面駐車場であれば「工作物」扱いの可能性もありますが、多層階の自走式駐車場や、屋根・柱を有する構造であれば基本的に建築物として扱われ、建築確認申請が必要です。
建築確認申請が必須になり、以下のような規制が適用されます。
また、中間検査・完了検査の対象となり、設計・施工の全過程において法適合性が問われます。
開放型であっても、屋根と柱がある限りは建築物と見なされるのが一般的です。
ただし、外周開放率が高い(例:壁長の1/2以上が開口)場合は、容積率算定の緩和などの特例を受けられることがあります。
それでも建築確認の提出義務は通常変わらないため、設計初期に行政へ確認することが重要です。
自走式駐車場は、原則として建築基準法上の「建築物」に該当し、建築確認申請をはじめとする様々な法規制の対象となります。用途地域による制限や容積率の特例、防火・耐火基準などを正しく理解し、コンプライアンスを遵守した設計を行うことが不可欠です。
一方で、「建築物」として適法に設計・施工された駐車場は、高い安全性や耐久性を備え、施設の長期的な安全稼働と維持管理に役立ちます。複雑な法的手続きや設計要件をクリアし、敷地のポテンシャルを有効に引き出すためには、豊富な実績を持つ専門家のサポートが欠かせません。
綿半ソリューションズでは、法規制の精査や行政協議から、立地条件に合わせた適切な構造方式・レイアウトのご提案まで、自走式駐車場の建設をトータルでサポートいたします。
「この敷地にどれくらいの規模が建てられるか」「各種申請手続きや法規制のクリア方法を知りたい」など、計画段階の疑問やお悩みから、まずはお気軽にお問い合わせください。
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綿半ソリューションズ株式会社は、自走式立体駐車場の設計・施工を専門とする専業メーカーです。
全国に多数の施工実績を持ち、用途や敷地条件に応じた構造提案を行うほか、設計段階からゼネコンや設計事務所と連携し、図面・法規・運用面まで一貫して対応。
6層7段構造において国土交通大臣認定(一般認定)を2016年12月、業界で初めて取得※するなど、大規模・高層対応の先駆的な実績も有しています。
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スムーズな計画進行の鍵です
自走式駐車場は基本的に建築基準法上の「建築物」として扱われます。過去の判例からもわかるように、自己判断で工作物として進めると違法建築となるリスクがあります。手戻りを防ぐためにも、計画の初期段階から専門家に相談し、所轄の行政機関と事前協議を行うことが非常に重要です。